【父の血】

病気になり、身体が思うように動かなくなった父は、私に事付けをする様になりました。

私が家族の中で1番父と仲が良かったために、少ない説明で事足りた事も一員だと思います。

私は読んだ事の無い、【文豪の中の誰々について知りたいので、何何を用意して欲しい。】ですとか、原稿用紙への代筆をしておりました。

誰についての本を用意するのかふと忘れた際、長谷川泰子さん付近の人で、詩人=小林秀雄さんではなく中原中也さんだ!と言う様な覚え方をしていました。

令和の時代になり、ECサイトや、言語文字入力技術が進み、才能ある身体が不自由な方にとって活躍できる場が引き継ぎある事への嬉しさと、机に向かい、万年筆や英字や、日本語のタイプライター(漢字は使うものをいちいち配置していて、今思うと何て不便!)を使っていた父の後ろ姿を、私は誇りに思います。

 

私には2つ父から受け継いだのだな、と思うものがあります。一つは、瓜二つのような濃い顔と、本がすきになれた事です。

あとは、病気後の父を支えていた様に、夫を支えていたいと思う気持ちを教えてくれたのも父だと思います。(現実には体調の優れない私を夫が支えてくれているのですが。)